こんにちは、昭和課長です。
仕事をしていると、予定どおりに進まないことってありますよね。
急に予定が変更になったり、担当者が休んだり、取引先から依頼内容が変わったり。製造業の現場では、むしろ「予定どおりにいかないこと」のほうが多いと感じるくらいです。
そんなとき、私は若手社員の対応を見て、ふとこんなことを思ったことがあります。
「臨機応変にやらないの?」
「今の状況に合わせて、少しやり方を変えればいいのに……」
「最初の予定が変わったんだから、次の方法を考えてみたらいいのでは?」
正直、以前の私はそんなふうに考えていました。
私は製造業で働く50代の会社員で、管理職になって約5年になります。現在は若手社員を中心に、部下の育成や仕事の進め方を見ています。
これまでにも、Z世代の若手社員との仕事を通じて、「自分たちの世代とは考え方が違うな」と感じる場面が何度もありました。
ところが今回、「臨機応変に対応しないように見える若手社員」と話してみたことで、私はまた一つ、自分の思い込みに気づかされました。
今回は、そんな実体験をもとに、なぜ若手社員は予定変更に対して慎重に見えるのか、そして管理職はどう関わればいいのかについて、私なりに考えてみたいと思います。
「予定と違うけど、どうする?」と聞いた日のこと
ある日のことです。
若手社員に、ある仕事を任せていました。
事前に「まずはこの手順で進めてください」と伝え、本人も納得して作業を始めていました。
ところが、途中で予定していた方法が使えないことが分かりました。
現場では、それほど珍しいことではありません。
「じゃあ、別の方法で進めればいい」
私はそう考えていました。
そこで若手社員に声をかけました。

「この方法が使えないみたいだけど、別のやり方で進めてみようか?」
すると、若手社員から返ってきたのは、こんな言葉でした。

「それって、変更しても大丈夫なんですか?」
私は少し意外に感じました。
「もちろん、状況が変わったんだから、できる方法を考えればいいんじゃない?」
そんな気持ちだったのです。
ところが若手社員は、すぐには動きませんでした。

「最初に聞いていたやり方と違うので、確認してから進めたいです」
そう言われたのです。
そのときの私は、正直こう思いました。

(心の声)「そこまで確認しないと動けないの?」
「仕事って、そんなにすべて決められたとおりに進むものじゃないだろう」
そんな昔ながらの感覚が、頭の中に浮かびました。
私たちの世代は「まず動く」が当たり前だった
私が若い頃は、仕事の途中で予定が変わると、まず自分で考えて動くことが求められていました。
もちろん、勝手に重要な判断をしてはいけません。
しかし、ある程度の範囲であれば、
- 今できることは何か?
- 別の方法はないか?
- このままでは間に合わないならどうするか?
- 上司に相談するとしたら、どんな案を持っていくか?
と考えるのが普通でした。
「言われたことをそのままやる」のではなく、状況を見ながら自分で調整する。
いわゆる「臨機応変」です。
私自身も、若い頃に先輩や上司から「そんなの、その場で考えろ」と言われた経験があります。
今振り返れば、かなり厳しい言葉だったと思います。
ただ、その経験の積み重ねによって、「予定どおりにいかないときは、自分で次の手を考える」という習慣が身についたのも事実です。
だからこそ、若手社員が確認をしてから動こうとすると、私はつい「臨機応変さが足りない」と感じてしまっていたのだと思います。
「臨機応変にできない」のではなく「勝手に変えていいのか分からない」
そこで私は、少し考え方を変えて、若手社員に聞いてみることにしました。

「予定と違った場合、自分でやり方を変えるのは不安なの?」
すると、若手社員はこう答えました。

「不安というより、どこまで自分で変えていいのか分からないんです」
この言葉を聞いたとき、私は少しハッとしました。
私は「なぜ臨機応変に動かないのか?」と考えていました。
しかし、本人からすると、
「臨機応変に動いて、もし問題が起きたらどうしよう?」
ということだったのです。
さらに話を聞いてみると、
- どこまで自分の判断で変更していいのか分からない
- 変更した結果、問題が起きたときの責任が不安
- 最初に指示された内容と違うことをすると怒られるかもしれない
- 勝手に判断するより、確認したほうが安全だと思う
という気持ちがあることも分かりました。
ここで私は、これまでとは違う見方ができるようになりました。
「臨機応変に対応しない」のではなく、「自分で変更していい範囲が分からない」のです。
「正解が一つ」と考えてしまう背景
この出来事で、以前の記事で書いた内容も思い出しました。
「正解が一つだと思う若手社員|50代管理職が伝えたい『プランB・プランC』の考え方【第51回】」
この記事でも、若手社員との仕事を通じて、「正解は一つではない」ということをどう伝えるかについて考えました。
今回の出来事も、実は同じところにつながっているように感じます。
私たち管理職は、「状況を見て考えれば分かる」と思っていることがあります。
しかし、若手社員からすれば、その「考えていい範囲」が明確になっていないのかもしれません。
たとえば、上司から、
「この方法でやってください」
と言われたとします。
その方法が途中で使えなくなったとき、経験のある人なら、
「じゃあ、次の方法を試してみよう」
と考えるでしょう。
一方、経験の浅い社員は、
「最初にこの方法でやるように言われたけど、変更していいのかな?」
と考えるかもしれません。
これは、やる気の問題とは限りません。
判断材料や経験がまだ十分ではないという可能性もあります。
「臨機応変」は経験によって身につくもの
私は今回の出来事をきっかけに、「臨機応変に動く」という能力についても考えるようになりました。
よく考えてみると、臨機応変な対応というのは、最初から誰でもできるものではありません。
仕事を経験する中で、
- これは自分で判断していい
- これは上司に確認したほうがいい
- この程度の変更なら問題ない
- ここから先は勝手に変更してはいけない
という「判断の基準」を少しずつ覚えていくものです。
私たち50代管理職にとっては、長年の経験によって自然に身についていることでも、若手社員にとっては初めて判断することなのかもしれません。
そう考えると、
「なんで臨機応変にできないんだ?」
と叱るだけでは、問題は解決しません。
むしろ、
「どこまでなら自分で判断していいのか」を教えること
が、管理職の役割なのではないかと思うようになりました。
若手社員に「判断していい範囲」を伝えてみた
そこで私は、若手社員に一つのルールを伝えることにしました。
「全部確認しなくてもいいよ。ただし、ここから先は必ず相談してほしい」
という線引きです。
例えば、軽微な作業手順の変更や、同じ目的を達成するための小さな工夫であれば、自分で考えて進めてもらう。
一方で、品質・安全・納期・コストなどに大きく影響する場合は、必ず相談する。
こうした基準を具体的に伝えるようにしました。
すると、若手社員からも、
「それなら判断しやすいです」
という反応が返ってきました。
この一言には、私自身も考えさせられました。
もしかすると、これまで私は「もっと自分で考えて」と言うだけで、自分で考えていい範囲を十分に伝えていなかったのかもしれません。
管理職が「臨機応変」を求めるときに意識したいこと
今回の経験から、私は若手社員に臨機応変な対応を求めるとき、次の3つを意識するようになりました。
1.「自分で判断していい範囲」を伝える
「自分で考えて」と言うだけでは、若手社員は判断できない場合があります。
どこまでは自分で決めていいのか、どこからは相談するのかを具体的に伝えることが大切です。
「何でも聞いて」でも「何でも自分でやって」でもなく、境界線を示してあげる。
これだけでも、かなり動きやすくなると感じています。
2.失敗したときに「なぜそう判断したのか」を聞く
若手が自分で判断して失敗したとき、すぐに「なんでそんなことをしたの?」と責めてしまうと、次から自分で判断しなくなる可能性があります。
もちろん、安全や品質に関わる重大な問題であれば、必要な指導はしなければなりません。
ただ、そのときも、
「そのとき、どう考えたの?」
と聞いてみることが大切だと思っています。
判断の過程が分かれば、本人のどこに知識や経験が不足していたのかも見えてきます。
3.「考えて動いたこと」を評価する
結果だけを見るのではなく、「自分で考えて行動した」ことを認めることも大切です。
たとえ結果が完璧ではなくても、
「自分で考えて動いたのは良かった」
「次はここを確認してから進めればもっと良くなるね」
と伝えることで、次の挑戦につながります。
若手社員にとっては、「考えて動いても大丈夫なんだ」と感じられることが大きな意味を持つのだと思います。
「臨機応変にやらない」のではなく、安心して判断できる環境が必要だった
今回の出来事を振り返ってみると、私は最初、若手社員に対して「臨機応変さが足りない」と思っていました。
しかし、話を聞いてみると、少し違っていました。
若手社員は、状況を無視していたわけではありません。
「勝手に変えていいのか?」
「もし失敗したらどうしよう?」
「最初の指示と違うことをしたら怒られないだろうか?」
そんな不安を抱えていたのです。
これは、以前の記事で感じた「指示待ち」にもつながっているのかもしれません。
一見すると「自分から動かない」ように見えても、その背景には、失敗を避けたい気持ちや、正しい判断をしたいという思いが隠れている場合があります。
だからこそ、管理職としては、表面的な行動だけで判断しないことが大切なのだと思います。
「昔はこうだった」を押しつけない
50代の私たちには、これまで仕事をしてきた中で身につけた経験があります。
それは大きな財産です。
ただし、その経験がすべて今の若手社員にそのまま当てはまるとは限りません。
「昔はこうだった」
「俺たちの頃はこうしていた」
という考え方だけで若手を見ると、本当の問題が見えなくなることがあります。
私自身も、今回の出来事を通じて、それを改めて感じました。
大切なのは、昔のやり方をすべて捨てることでも、若手社員の考え方をすべて受け入れることでもありません。
これまでの経験と、今の若手社員の考え方をどう組み合わせるか。
そこに、これからの管理職の役割があるのではないかと思っています。
若手社員が「自分で考える」ために必要なこと
若手社員に主体性を求めるのであれば、管理職側も環境を整える必要があります。
私が今、意識しているのは次のようなことです。
- 目的を明確に伝える
- 任せる範囲を具体的にする
- 判断していいことと相談すべきことを分ける
- 失敗したときは原因を一緒に考える
- 自分で考えて行動したことを評価する
- 「正解は一つではない」と伝える
特に最後の「正解は一つではない」という考え方は、とても重要だと感じています。
仕事には、最初から答えが決まっているものもあります。
しかし、現場で起きる問題の中には、状況に応じて複数の方法を選ぶ必要があるものも少なくありません。
「AがダメならB」
「Bも難しければC」
というように、複数の選択肢を持つことが、臨機応変な対応につながります。
若手社員にいきなり「臨機応変にやって」と求めるのではなく、まずは「こういう場合は、こんな選択肢がある」と教えていくことも、育成の一つなのだと思います。
まとめ|「臨機応変にやらない」の裏側にあるもの
今回、「臨機応変にやらないの?」と感じた私は、若手社員と話をすることで、自分の見方が少し変わりました。
最初は、
- 自分で考えない
- 判断しようとしない
- 言われたことしかやらない
そんなふうに見えていました。
しかし、実際には、
- 勝手に判断していい範囲が分からない
- 失敗したときの影響を心配している
- 最初の指示から変更することに不安を感じている
- できるだけ正しい判断をしたいと思っている
という事情がありました。
つまり、「臨機応変にやらない」のではなく、「安心して臨機応変に動けるだけの判断基準がまだ身についていなかった」のかもしれません。
もちろん、すべての若手社員が同じ考え方をしているわけではありません。
「Z世代だからこうだ」と決めつけることも避けなければならないと思います。
大切なのは、目の前にいる一人の部下をよく見ること。
そして、「なぜそうするの?」と感じたときに、すぐに評価するのではなく、一度話を聞いてみることです。
私自身も、まだまだ試行錯誤の途中です。
ただ、今回の経験を通して、管理職として一つ学んだことがあります。
部下に「もっと自分で考えて」と求める前に、「安心して考えられる環境を作れているか?」を自分自身に問いかけること。
これからも、若手社員との日々のやり取りを通して、私自身も学びながら管理職として成長していきたいと思っています。
もし今、あなたも「なぜこの若手社員は臨機応変に対応してくれないんだろう?」と悩んでいるのであれば、一度、本人に理由を聞いてみてはいかがでしょうか。
思っていた答えとは、意外と違う答えが返ってくるかもしれません。
あわせて読みたい|Z世代との仕事観の違いを考える
今回の記事とあわせて読むと、若手社員の「判断」「主体性」「仕事の進め方」について、より理解しやすくなると思います。
「正解が一つだと思う若手社員|50代管理職が伝えたい『プランB・プランC』の考え方【第51回】
「正解は一つしかない」と考えているように見える若手社員に対して、管理職としてどのように選択肢を増やしていけばいいのかを考えた記事です。
また、若手社員との仕事観の違いについては、これまでの記事でもさまざまなテーマを取り上げてきました。
「指示待ちに見えるのはなぜなのか?」という疑問については、こちらの記事も参考になります。
【第6回】「指示待ちなのか?」と感じた私が気づいたZ世代の仕事観
さらに、責任の捉え方について考えたい方には、こちらの記事もおすすめです。
【第7回】「責任を取りたくないのか?」と感じた私が知ったZ世代の本音
一つひとつの記事を振り返ってみると、「若手社員が動かない」という一見同じように見える行動にも、実はさまざまな理由があることに気づかされます。
最後に|若手社員を変える前に、伝え方を変えてみる
管理職として部下を見ていると、「もっとこうしてほしい」と思う場面は少なくありません。
私自身も、今でもそう思うことがあります。
ただ、最近は「なぜできないのか?」と考える前に、「こちらの伝え方に問題はなかっただろうか?」と考えるようになりました。
若手社員に臨機応変な対応を求めるなら、まずは臨機応変に動けるだけの判断材料を渡す。
そして、安心して考えられる環境を作る。
それが、若手社員の主体性を育てる近道なのかもしれません。
昭和世代とZ世代。
仕事に対する考え方や経験は違います。
だからこそ、どちらか一方に合わせるのではなく、お互いの良さを取り入れていく。
それが、これからの職場づくりには必要なのではないかと、私は感じています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
同じように若手社員との関わり方に悩んでいる管理職の方にとって、今回の記事が少しでも参考になれば嬉しく思います。
※本記事は、筆者の実際の職場での経験をもとに、一部内容を再構成しています。
※個人や企業、特定の人物・状況が特定されないよう、一部内容を調整しています。
※本記事は特定の世代を一括りにして評価することを目的としたものではありません。若手社員とのコミュニケーションについて、筆者自身の経験と気づきを紹介するものです。
※本記事内の画像には、AI(ChatGPT / DALL·E)および Canva によって作成されたものを含みます。
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